わが国では超高齢社会に突入し、パーキンソン病や老年性振戦など、加齢に伴う不随意運動(ふるえ)の患者さんが年々増加しています。
老人性振戦は緊張時などにみられる振戦で生命に関わるような病気ではありませんが、初期のパーキンソン病との鑑別が困難なことがしばしばあります。
パーキンソン病とは、手足が震え、歩いたり動いたりする動作が鈍くなる疾患です。患者数は人口10万人あたり100~150人程度ですが、60歳以上では1%以上が罹患します。40歳以下にみられる若年性(遺伝性)パーキンソン病もありますが、基本的には高齢者に多くみられる疾患です。
原因
パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン神経細胞が細胞死(変性)を起こすことが発症の原因とされます。ドパミンは運動機能に重要な神経伝達物質です。残存した神経細胞にはレビー小体と言われる封入体(異常な蛋白質)が観察されます。
パーキンソン病の原因は完全には明らかにはなっていませんが、一番の発症リスクは加齢です。
症状
ドパミンは運動機能に重要な神経伝達物質であり、この障害により患者は無動(動きがゆっくり)、振戦(ふるえ)、固縮(手足の固さ)、 姿勢保持反射障害(転びやすい)といった症状が認められ、日常生活動作が障害されます。
また運動症状にくわえて、認知症、精神症状、自律神経障害、睡眠障害、嗅覚症状などの非運動症状もみられます。
検査
頭部MRIはパーキンソン病診療ガイドライン2018でも、振戦(ふるえ)などの症状を呈する他の疾患との鑑別に推奨されています。MRIを撮影することで、パーキンソン病の類縁疾患である多系統萎縮症、正常圧水頭症、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、血管性パーキンソニズムなどの鑑別に有用です。
その他、DATscanやMIBG心筋シンチグラフィなどの画像検査も診断に有用です。
鑑別診断
パーキンソン病およびパーキンソン症候群(パーキンソン病の症状を呈するさまざまな疾患)や老年性振戦が代表的なふるえをきたす疾患です。鑑別には画像診断および専門医による診察が必要です。
また、不随意運動(ふるえ)は、甲状腺機能亢進症などの内科疾患の合併症として出現するものもあります。また、さまざまな領域の疾患で内服している薬剤の副作用によりふるえなどのパーキンソン症状を発症することがあり、内服薬の確認が重要です。
治療方法
パーキンソン病の治療については発展が目覚ましく、薬物療法、外科療法、リハビリテーションなどについての新しいエビデンスが日々報告されています。
治療の中心となるのはL-ドパであり、この薬の発見により予後は著しく改善しました。L-ドパは、長期使用に伴い運動合併症(ジスキネジアなどの不随意運動の出現や薬の効き目が短くなるwearing
off現象)の出現が問題となります。
その他の治療としては、クロナゼパム・プリミドンなどの抗てんかん薬、プロプラノロール・アロチノロールなどのβ遮断薬が使用され、ふるえの軽減が期待できます。
予防法
パーキンソン病はα-シヌクレイン(異常な蛋白質)が凝集・蓄積することで発症し、α-シヌクレインの蓄積開始から運動症状の発現までに数年~数十年を要することが明らかになっています。運動症状の発現前に、α-シヌクレインの伝播を阻害できれば、パーキンソン病の発症を予防する先制医療が可能になります。現在、発症前の早期診断を行うことが可能にする的確なバイオマーカー(検査)と進行を抑制する疾患修飾薬の確立を目指して日々研究が進められています。
概要
院長 | 古田夏海 医学博士 |
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標榜科 | 内科 脳神経内科 老年内科 |
所属 | 日本内科学会 日本神経内科学会 日本認知症学会 |
資格 |
総合内科専門医・指導医、 神経内科専門医・指導医、 認知症専門医・指導医 日本医師会認定産業医 |
住所 | 群馬県高崎市上小塙町字東原1061-1 |
電話 | 027-387-0100 |
アクセス | JR高崎線、高崎駅より車で15分、駐車場25台有 |
連携 医療機関 |
高崎総合医療センター 群馬大学医学部附属病院
前橋赤十字病院 真木病院 第一病院 公立藤岡総合病院 ほか ご希望の医療機関への紹介状も対応いたします。 |
診療時間
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